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From: "shiori"
Sent: Thursday, July 20, 2006 6:23 PM
Subject: 僕の初恋
 
「じゃあ、今日は楽しかったね!」
「うん。また。」
今日僕は出会い系サイトで知り合った香織ちゃんと夜を共にした。
最初はただ自分の欲望を満たして終わるつもりだった。
「こんな所に登録してる女なんか汚れてるに決まってる、一回やってさよならだ」
女性関係に慣れてなかった僕は無理矢理自分にそう言い聞かせ、軽い男を演じようとした。
 
http://sruq.com/?nb31
 
 
 
「すいません」
後ろでかすかな声がした。
「もしかして、幸司さんですか?」
そこにはどこにでもいそうな、普通の女の子が気まずそうな顔をして立っていた。
「え . . . .、あ、はい。」
演技終了。そこには普段の内気な僕がいた。
想像とかけ離れていて、頭が真っ白になった。
「どうします?」
「あ〜、とりあえず歩こうか」
そう、いつもどうりの優柔不断な僕だ。
しばらく無言のまま歩き、彼女の誘いでプリクラを撮った。
「変な顔〜。」
彼女がはじめて見せた笑顔だった。
僕は急に気持ちが楽になり、いろんなことを話した。
仕事のこと、家族のこと、友達のこと。
「はははっ、幸司さんって面白いですね!!」
僕はその時、まるで別の世界にいるみたいだった。
人におもしろいなんて言われたのははじめてだった。
ご飯を食べながら二人で笑いあった。純粋な香織ちゃんを見てたら、自分が情けなく思えた。
『一回やってさよならだ』
僕はなんて愚かだったんだろう。
 
気がつくと日が暮れて、時計を見ると夜の10時を過ぎていた。
このまま帰るのも何か物足りず、
「ちょっと話そうか」
僕はそう言うと彼女の手を引き、二人で公園のベンチに腰掛けた。
「. . . . . . 。」
「. . . . . . 。」
心地いい無言が二人を包んだ。
自然と距離が近ずき、僕の心臓の音が聞こえないか心配しながら、
「キス . . . 、キスしていい?」 
 
ダサい。 ダサすぎる。 もっと自然にできないのかよ!!
心の僕がそう叫び、冗談だと言おうとした時、 彼女の方から . . . . . .
 
 
「じゃあ、今日は楽しかったね!」
「うん。また。」
 
 
今日僕は出会い系サイトで知り合った香織ちゃんと夜を共にした。
ガムの味が無くなる位、大好きな映画が終わる位、あっという間で、とても短い夜を共にした。
http://sruq.com/?nb31

 

 
 単にオタついちゃって値段交渉を切り出せなかっただけなんじゃないかと。