『Hell (2005)』

 
 eThaiCD.comを眺めてた時にこのジャケが気になったのと、2005年公開のタイ映画としては新しめのDVDって事で購入した後でサイトの内容紹介を読むと、どうやら中川信夫の『地獄 (1960)』のタイ版、といった感じでしたが…
 
 母親と二人暮しのJa、自分の妊娠に気がつき同僚で恋人のChodに報告しに行くと彼が浮気をしているのを発見。友達の部屋で翌朝を迎えたJa、Chodら7人でテレビの撮影に出かけるのですが、一行の乗ったワゴン車がトラックと衝突… の筈が…
 
 って、まさにタイ版『地獄』(笑)。
中川信夫がヨーロピアン系色彩の画面だったのに対して本作は『The Texas Chainsaw Massacre』げな埃っぽい赤茶けた色彩の画面なのは時代の流行、でしょうな。犯した罪に対する拷問が『地獄』程には関連は無いんですけどゴアシーンとしてはナカナカにアジアらしい湿度と陰度がハリウッド・インディーズっぽい演出で行われるのは面白いですぞな。
 ただストーリー展開に難アリで… っと、ここからはネタバレなんで興味のある人だけ反転させてね…
 
 7人の主役らはトラックとの衝突で生死の境にいる為、閻魔様の裁定が決まったワケではない、って筈なのに何故か刑場に引っ張られて責め苦を受けさせられてしまう、ってのがよぉ解りませんし、実はさしたる罰や罪を犯していない人までエライ目に遭ってたり、最初の選別で良い輪廻を迎える方に選ばれた二人のうち、一人は真面目にお祈りをする正義感溢れる青年なのにもぅ一人はJaの恋人を寝取る女の子、ってのも妙だなぁ… っと思ってたんですが、彼らがその場から残りの五人の為に引き返して助け出して逃げる際にその女の子は亡者に喰われてオシマイ、って??? とか、一人だけ「何故地獄行きになったのか?」というエピソードの無い若者まで拷問を受けさせられてたり、っと設定とお話と進行の辻褄が合わないんですよね…
 
 それさえ無ければ… でなきゃぁいっそテーマパークのライド系のようにもぅ辻褄とかどうでもいい勢いだけの見世物ムービーにするなり逆に阿鼻叫喚の地獄巡りのゴアムービーにするかにした方が良かったような気がします。っか、せめて因果応報に撤してくれるだけでも違った印象になってたんじゃぁないのかなぁ… っとか、スコアとか良い部分も多いんで色々と言いたくなるような「惜しい」映画でございましたな、っと。
 
 以下はこのDVDについての情報なので興味のある人だけ

 
・『Hell (2005)』(PAL) - Region 3
 
Studio: Sahamongkol
Theatrical Release Date: June 23, 2005
DVD Release Date:
Run Time: 90 Mins.
 
Aspect Ratio: Anamorphic Widescreen - 1.85:1
Available Subtitles: None
Available Audio Tracks: Thai (Dolby Digital 5.1)
 
Special Features :
・FILMMAKER’s COMMENTARY
・TRAILER
・TV SPOT
・BEHIND THE SCENE (9:00)
・FACT ABOUT HELL (4)
・THE ARTS OF HELL (3)
・WALLPAPER (4)
 
 

 画質、音質は良好かと。ただなんとなく画面を観ていれば解るお話であっても英語字幕すら無いのはタイ語がカケラも解らない私にはちょっと困りましたが。
 
 特典はこのメーカーのモノとしては標準より少なめ、ってトコでしょう。無理に数は揃えてはいますがたった3ページ・9枚の鬼デザイン画とか収録する必要は無かったかと思われ… とは言えそれなりに揃ってはいるんでソフトとしては良心的な方じゃぁないですかね? っと。