『7 Street Fighter (2005)』の憂鬱(DVD雑記)

USA-P2006-06-06


 参った。
 
 前作『7 Pra Chan Ban (2002)』がやや人死にが多いものの基本的にはタイ
にナイショで枯葉剤を持ち込んだ米兵ってのが悪役だったが今回作における
敵役の日本軍、かつて香港映画や韓国映画や中国映画で観てきた外道、鬼畜
を06年の現在になって観るとは思わなかった…
 
 最初の方は実にスマートで腕も立つクールな将校さんだったんですよ。
で、7人のリーダーの軍曹が上陸した日本軍の将軍の
「我々日本軍はタイ国を攻撃しない!」
 って日本語を理解出来ずに反射的に蹴り殺してしまったあたりからお話が
陰惨な展開になってって「遠すぎた橋」もどきの建設現場での大量虐殺、
となっても基本的にはアクションコメディ的演出、ってのをやられても…
タイにも抗日運動はあったし米軍による空爆もあった。一方で戦時借款の放
棄とかの話もある。地域差もあれば多民族国家でもあるタイをひとくくりに
親日国家とする程には甘くはないつもりではいたんだけど、ね…
 
 思えば『Ong-Bak (『マッハ!!!!!!!!』(2003))』でもMr.Kamikazeなる人物
がコメディっぽく現れてトニー・ジャーにぶちのめされたものだが、これも
戦後、日本人がタイ国で何をしてきて、どういう接し方をしてきたか、って
のの現われなんだろうか? って思うと気分的に欝げにもなりまさぁな。
 勿論、この映画1本をしてタイ国全体を論じるのも、
「こんな映画デタラメだ! っか何だよ忍者とかサムライとか!」
 って言うのも同じくらいにナンセンス、意味が無い。
ただ、娯楽という商品で消費されるライン、レベルとして採算が取れる範囲
としてあそこまではオッケーだと見切った… 韓国や中国など外国に売るの
も込みで… って判断が成された事を考えてみる、とか私的に興味深い作品
であるんですが… 参った。