『カレンダー・ガールズ』

 白血病で夫を亡くした事をキッカケに夫人連盟有志による白血病撲滅の為の資金を得よう
と夫人達(平均50代半ば?)のヌード・カレンダーを製作する事になるのだが… という、
1999年のイギリスの実話を元にした映画です。
フル・モンティ』の女性版かと思っていたのだが、こちらは実話を元にしてあるので視点
も展開もかなりワイドな分だけ散漫になっている印象が… っと、観終えて思ったんだけど
要するに『シービスケッツ』と同じような観賞感が私はしましてねぃ。
 もっと【女性同志のドラマ】なり【イギリス社会における女性の解放】なり【行動】なり
どこかにポイントを絞ってくれた方がもっとスッキリとノれたんだろうけれど、どの要素も
それなりに押さえてはあるんだけど均等過ぎて、折角の有志12人や旦那さんや息子ナドの
登場人物に厚みが薄いし、例えば彼女らを撮影したカメラマンが撮影以降全く本編に出て来
ないナド、エピソードとしてカットされたモノがあったらもうちょっと違う印象もあったか
なぁ… という気がしてしまいましてな。カレンダー発行までだって一本の映画になれた筈
なのに一気に発行、騒動、そして… ってトコまでやっていくのはテンポいいんですけどね。
でも、それらの要素の中から「何を伝えたいのか」「何がやりたかったのか」ってのを整理
編集するのも映画ではないかなぁ… っと。

 まぁ、これはこれでアリだとは思うんですが、素材自体1つ1つが面白そうなのに勿体無
いよなぁ… っとね。
 
 ともあれ、元気なオバサン達の姿に多少ゲンナリしつつ(苦笑)も、悪い印象を持てない
のは撮影が落ち着いているからでしょう。ヨークシャーの更に田舎の町・ネイプリーの景色
の美しさ、何気ない生活シーンでの無駄は無さ、1つ1つのシーンをもっと派手に出来た筈
だけど、あえて日常として落ち着いた画像にまとめているのは素直に好感を持ちましたよ。

 暗くしようと思えばいくらでも出来たし、馬鹿にしようと思えばこれまたいくらでも出来
たのをあえてせず、落ち着いた、それでいてビターさも感じさせつつも明るい作品、SFX
やバイオレンスに倦んだ時ナドに観るといいかもしれませんなぁ…