「ホーム、スイートホーム」

 
 クソ暑いわ蒸し暑いわの夕方に、かつての職場の一宮に
行って、あまりの寂れようにチト驚く。駅前にサンクス
なんぞが開店してたが、その店舗の新しさがかえって町の
寂れようをより強く醸し出しているのは皮肉なもので。
 
 今の名古屋の支社に統合する前まで、都合4年ほどいた
一宮ではあるが、いい事や愉しい事よりも、嫌な、悲しい
腹立たしい、不愉快な思いをさせられたイナカモノの町。
それまで私は自分が住んでいる大垣という町がさして好き
でもなかったのだが、一宮に通勤するようになって大垣と
いう町に愛着と想いを抱けるようになった。
 
 今でも一宮には恨み言や呪いのキブンが無くもナイが、
こうも寂れてしまっていると、そんな私でもなにかしらの
寂しさ… というか悲哀のようなモノを感じなくもない。
 
 多分、今でもこの町が職場だったらそうは思わなかった
であろう。もぅ、よほどの事が無ければ居眠りする間に
通り過ぎてゆく駅の1つに過ぎない、友も何も無い、その
程度の町だからこそ、そう感じれるのだろう。
 
 と、すると。
 
 教養以前に教育がなっておらず、情に薄く、銭に汚い、
東京や大阪に対する卑屈なコンプレックスを周辺地域で
ウサ晴らしする事でしか晴らせず、痴漢と珍走団と風俗店
と県債の発行率と残高と、都市緑地面積、ゴミ処理能力の
低さぐらいが全国トップの、能力才能あるモノは皆、故郷
を捨てて二度と帰ってはこない… そんな愛知県、名古屋
に対する私の怨阻も憤怒もまた、距離を置くことでその
心象も変わるのだろうか?
 
 せめて家のローンさえ無ければ…
 こんな汚泥の、排気ガスとドブ臭い土人の地など…
 
 
 
 などと、ついついネガティヴに考えてしまう私ってば、
<FONT SIZE=5>「駄目じゃん。」</FONT>
 ってコトで、とっとと家路につく。
だってまだ月曜日だしぃ〜。ショテからメゲててあと4日
も過ごすのなんか御免じゃぁ〜…
 と、思えるくらには気力も体力もまだある月曜日。