「DVD雑記・『レスリング・ウィズ・シャドウズ』偏」

「お取り寄せになります」とあったので、
「まぁいつ着いてもいいやぁ〜」
 ってな気分で火曜日にアマゾンで注文した
レスリング・ウィズ・シャドウズ』
 が今朝届いたので妻と観たのだが… 

 いわば「内幕モノ」と言っていいのだろうか?
ブレッド・ハートというWWFのスーパースターが辿る
悲劇は97年というプロレスの歴史の変換期をも示す
ドキュメンタリーである。同様のドキュメンタリー作品と
しては劇場公開もされた『ビヨンド・ザ・マット』がある
けれども、あちらはどちらかといえばプロレスという特殊
な世界に関わる人達を通じてアメリカにおける「家族」を
示したものだとすれば、それより先に世に出たこの作品は
もう少し広く、アメリカという国の変わりようを大衆娯楽
の1つとしてあるプロレスを追う事で切り取って見せた、
という印象があって。
 
 ブレッド・ハートっていうかハアート一家やHBKにも
何も思い入れの無い私と、さらにプロレス自体に興味の
無い妻であっても、この作品が伝えてみせた様々な…
「いつかあんたにも巡ってくることなんだからね!」
 とブレッドの妻につきつけられてなすすべもなく立って
いるHHHらの現在も観ているだけに、少なくともいい
後味は残らないし、この事件の後のブレッドの辿る道、
そしてその後を知る身としては暗然たる気持ちになって
しまう。平和な日曜の朝に観るべき映画ではなかったが、
多分、また観る気になるドキュメント番組、と思うが…
 
 正義のヒーローと悪者との勧善懲悪の「お話」では、
もう皆が乗れなくなってしまっていく、というのは現実の
反映であり、それだけ「深く」なったのかもしれないが、
それは演じる側だけでなく観客にとっても不幸ではないの
だろうか?