語り継がれるからこそ『物語』は伝説に、神話にもなれる。だからこそデータや事象での歴史、ではなく『物語』として語って伝えるべき。まして、その『物語』が終わっているのならば、尚更に。

 
 …と思ったデビット・ボウイの訃報。
 
いやまぁ、彼に限らず、後の世に影響を残した表現やファッションや思想は今まであったんですけども… 影響が大きければ大きいほどに、流用され、引用され、パクられ、模倣されて一般化、テンプレ化になって、結果としてそれら流用、引用、パクリ、模倣、テンプレで知った世代になっている自分がいるじゃぁないですか。で、発案者、提唱者、といったオリジナルと比べれば時間が経過してる分、流用、引用、パクリ、模倣、テンプレの方が洗練されてるし”今”の時代にチューニングされてるから親和性やらは高いんですよね。まして、当時の社会事情なぞ知らなければ解らない事… その理論面やら革新性やらも含めて、解らなくなっていくじゃぁないですか、一般化、テンプレ化される事で。そして、一般化、テンプレ化する事でオリジナルを知らないって事が当たり前、デフォになっちゃうんだけど、それでいいのかなぁ… と。確かにオリジナルは野暮ったいかもしれないし、荒かったり、詰めなり削ぎなりが甘い部分もあるでしょうが、オリジナルならではの無茶や、熱意や、迫力みたいなのもあるんじゃぁないの? とか。
 
 だけど「知らない」んですよね。一般化、テンプレ化されてるから。
 
 でも、それにはこういう元、オリジナルがあって… ってのを知るのって面白くない?って思うんですよね、私は。 
 
ここで歴史として語るんじゃぁそれこそ「回顧厨乙」にしかなりゃしないけど、そうじゃぁない。そんなのはマニアがマニアん中だけでやってりゃいいんだけど、そんなので終わっていいのはマニア当人だけでいいんだよ。今、これだけの情報化社会で、取っ掛かりも切っ掛けも無ければ「知ろう」って気にもなれないこの情報過多の時代で、語らなかったらどんな名画だろうと、名作だろうと、名曲だろうと、埋もれてしまうんですよ。マニアが歴史としてしか語らなかったら、歴史として知ろうとするまで埋もれてしまうんですよ。いや、むしろマニアが歴史として持ち上げるが故に敬遠されるやもしれません。だからこそ、好きな物事については、その感情や驚きや体験や気分を、語る事も必要なんじゃぁないのかなぁ… と、最近、特に思うんですよ、何事によらず。それって勿体無いっか、つまんなくない? って。
 
いやしかしもぅ既に大メジャーで有名じゃぁないか、それを自分が今更… という気分は解りますが、でも、今の時代なればこそ、語る事をしなければ「知らない」まま。例えばもぅ、今の小学生でマイケル・ジャクソンを知らない子供だって珍しくないでしょう。かつて伝説とされたマーク・ボランボブ・マーリー、ジミー・ヘンドリックスどころか、ジョン・レノンも含めてのビートルズを知らない若者だって珍しくはないでしょう。映画でならバスター・キートンでもいいや。でも、それって、なんか勿体無くね? 遥か昔にこんな事やってた人がいた、ってだけでも「世界」って拡がらね?とか。洗練されてない分、濃かったり、尖ってたりする事もあるそれらを知るだけでも… とか、ね。
 
くどいけど、ここで歴史から語ってもしょうがないと思うんですよ。それは目的を持って自ら調べるものであって、未知の取っ掛かりとしては歴史はあまりにも広すぎて遠すぎるでしょう。 キチンと語ろうとして歴史からというのは間違いではないんですが、やっぱりまず語るには知識よりも、その人なりの熱意ってのかな… 気分でもいいし、喜びなり、驚きなり、戸惑いなりの地の部分が無ければ伝わらないと思うんですよ、趣味の、趣向の、娯楽の分野ではね、と。それはファンだけでなく、たとえ一曲、一作でもそこになにがしかの感情や思い出があるのならば、それがファンからすれば如何に浅く見えようとも、明らかな嘘や捏造ではないならば目くじら、ダメ出しはしないで、「こんなのもあるよ?」「これはどう?」って感じでいて欲しいんですけどね…
 
 
 
 …って事で、個人的なデビット・ボウイについてダラっと。
 
世代的にはMTV黎明期が小学生の頃だった私が初めてリアルタイムで聴いたのは

レッツ・ダンス

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 で面白いボーカルだと思ってLPを購入したけれど、正直言えばそこから追っていってのグラムッロックや星屑ジギー等はどうにも好みが合わないでいて。漫画とかイラストとかに明らかに彼を模してたりインスパイアされたのがあって知ってはいたけど実物はどうにもあきませんでした。が、自分の趣味で観ていた映画にも結構出ていて、そんな映画の中では
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 は確かに好きなんだけど『ラビリンス』はどうにも駄目だったけど、後年の『ズーランダー』での美味しいトコとか、自分の好き嫌いは置いておいても彼がやった事の影響というのは単に音楽に留まらないトコにあるのは単純にスゲェな、とも思ったりして。世間的にはほぼスルーの後年の
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 のシンプルさを個人的には気持ちいいしカッコいいとは思ったものの… という程度の私でしたが、それでも訃報には確実に1つの時代の終わりを感じたものです… ってくらいの影響力を与えた人だと、私ですら思ったんですけどね…
 
 …ってくらいに、ファンではない私が一番好きな曲はコレ。
 

 
 リアルタイム世代だった私にとっては、世界平和だ愛だ主の前では皆子供ってLIVE AIDがどうにも苦手で、といってArtists United Against Apartheidのような政治思想ってのも個人的にはカッコイイ曲だと思うけど苦手だった当時の私にとっては、音楽って素敵じゃん、思わず踊っちゃうじゃん!ってミック・ジャガーデビット・ボウイが軽くやってるのがとても好きでした。まぁ、当時どころか今でさえホモォ疑惑ネタにもされたものですが、テーマに対しての正論を重さではなくサラっと、個人的な心情や違和感などを言わさせない窮屈さではなくあくまでも明るく、楽しくやってくれた彼らがとても素敵でカッコよかったですし、今聴いてもその気持ちは変わらなかったですね… ホント、『Zoolande2』にも出て欲しかったなぁ…