『ノーモア★ヒーローズ2 デスパレート・ストラグル』雑感。


【公式HP】
http://www.mmv.co.jp/special/game/wii/nomoreheroes2/
【開発:グラスホッパーマニュファクチュア】
http://www.grasshopper.co.jp/
【4Gamers.net記事】
前作の不満点を解消し,より遊びやすくなった「NO MORE HEROES 2 DESPERATE STRUGGLE」を,全力でオススメしてみる
 
前作はあまりのロードの多さに加えてずっとWiiがディスクを読んでいるのに耐えられなくて途中で心が折れましたが、『Killer7』で惚れた須田氏だからこそのグラフィック、音楽、そして独特な台詞(日本語の台詞を英語化したのから字幕化してますよね?)は好きだったのと4Gamerさんトコの記事が素敵過ぎて読んだらもぅ堪らなくなってアマゾンで即予約、それから数ヵ月後にブツが22日に到着したので休日を潰して10時間チョイでクリアーしましたが
 
いやぁ、面白かったッ!
 
ゲームとして見るにバランス調整はあまりいいとは言えないと思いますよ。バイトのミニゲームの当たり判定とかよくワカラン部分もあるしそのミニゲームの難易度と稼げる金額が比例してないとかガードでメリメリ減るバッテリーとかボタン連打で起き上がるよか何もせずに起き上がった方が安全とか緊急回避やビームカタナ切り替えの無敵時間のお陰でハメ殺されたりとかシノブステージの倉庫街のマップデザインがイマイチだから足場から降りたらえっれえ遠回りしないと行けないのとかナオミ博士アレだけ?とか、ゲームとしての文句はあるんですけども作家性って言うんですかね? すごく下品なんだけど下卑てないんですよね。どいつもこいつもイカれてるんだけどそれをプレイしてるのはお前なんだよ? お前がプレイしてるのは確かにTVゲームなんだけどそれでも娯楽として人を殺すってのをしてるのはどういう事なのかね?って問いをプレイヤーに突きつけてくるんですよね。いや開発者は違うと言うかもしれんが私はそう思った。それがブレる事なく最初から最後まで、面倒なランキングバトル代を稼ぐ事をせずにひたすらに殺しまくりなストーリーでキチンと見せてくれたんだからそりゃもぅ面白いとしか言えませんね… って事で、以下はダラダラとした雑感。クリアー後の事も込みなのでお時間のある人と一応伏字にはするけどネタバレも構わない人だけ

  • 『ゲームに関して』
  • セーブデータは10個まで作成可能。 
  • 前作のセーブデータがあっても特に特典は無し。
    • 正直チョイと残念ではありましたがストーリー的にはこれで正しいんですよね…
  • Wiiリモコン+ヌンチャクかクラッシックコントローラーかの操作方法が選択可能。
    • +ヌンチャクでは確かに臨場感はあるがバイトミッションや回転斬り等の一部の操作がし辛い。逆にクラコンだと充電や二刀流でのフィニッシュ等でチョイと入力がし辛い時もあるのでプレイヤーの好みでいいかと。
  • 難易度は最初はSWEETとMILD、クリアー後にBITTERが選択可能。
    • SWEETは本当に易しくなりました。前作はSWEETでも平気で一撃死があったけど、今回は船長んトコ以外では確か無いと思ったが… ストーリーやアイテムに特に変化は無いので気楽に楽しむのならばSWEETでのプレイがいいかと。
    • 難易度に関係無く、クリアー時点でのアイテム・資金・ステータスは引継ぎ出来るのでまずはSWEETから、ってのでもいいのではないかと。
    • 難易度に関係無く、クリアーするとランカー戦のみのモードがオープン。Tシャツにマッスルが追加。
  • 攻撃力と体力のステータスをあげるミニゲームはノルマ制なので諦めずに何度もチャレンジすればいい、ってのも有難い。
    • 最初はノーミスで、ですが、失敗が続けば続く程ミスしてもいい回数が増えていくので「出来るかこんなん!」と投げ出す必要は無いですよ(そこも前作とは大きな違いかも)。
  • バイトは虫駆除かステーキハウスがかかる時間と得られる金額、難易度の点で効率的かも。
    • 虫駆除は説明書が無いのでチョイと悩む人もいるかもしれませんが、「地形に引っかかる事もあるのでなるべく自キャラ上下分のスペースを確保を意識」「拾ったスプレーの散布かブロックを当てる事の気絶でどんな敵でも一瞬で吸い込める」ってので何とかなるかと。コレに気がつかないと4面で詰む。
  • 移動がマップ性になり、加えてミニゲームもほぼ8bit風になったので読み込み回数も速度も大幅に改善しているので私のように前作のロード回数と街の広さにメゲた人にはうってつけかと思われ。
  • ジーンのダイエットが成功してしまうともぅ二度とジーンと遊べないのが個人的には残念。運動イコール機嫌が悪くなる、ってしたからなんだろうけど、ただただスリムになったジーンと遊べれても良かったような気がするんですが…
  • 前作との違いとかは前述の4Gamer.netさんの記事を読んで下さい。この記事は前作を知ってる人や須田ゲーが好きな人ならシビれるいい記事で作品を非常に良く伝えているので、是非。

 

  • 『特典BOXの内容物について』
  • 特典としては紙製の外箱、設定資料集、DVD、『NO MORE HEROES 2』ミニサントラCD、エロチカコミック。
  • 外箱にエロチカコミックだけ一体収納出来ないのが個人的にチョイと嫌。逆に設定資料集の方が大きかった方が良かったかなぁ…
  • DVDはトラヴィスの空白の3年間を描く「NO MORE HEROS 1.5」と「前作の粗筋」「予告編」の3つで約30分収録。音声が声優さんによる日本語吹き替えのみなのは好みが分かれるトコかな?
    • 私は日本語字幕&オリジナル英語音声も収録して欲しかった…
    • 前作の粗筋は最後まであるのでコレを観れば前作未プレイ&挫折の人も安心かと。
    • 予告編は海外版仕様を元にしているので表現が違うのは…
      • 前作同様に日本版は北米版と違った表現になった、それ自体は構わないんですが、だったら演出は日本版に徹底して欲しかった… 何せ一番最後の発売だったんですから。北米版のような切断や大流血でなくてもいいんです。でも、前作で灰化して乳首マシンガンだけになったデストロイマンやシノブの右手とかが本作にあの形で出ても日本版しかプレイしていなくて北米版もXBOX360のHD版も特典DVDも観てない人には理解っか納得は難しいでしょうて。直接血が出るシーンとそうでないシーンとの差、判断の基準が解らないんで、ちょっとボケた印象になった点はあるかと。私は船長でああいう表現をしたんだったらアリスんトコだって血でなくてもいいと思うんですけどね…
  • CDは全9トラック約25分収録。
  • 設定資料集は全22P、オールカラー。
    • 設定の書き込みとかが読み辛いトコもあるんでもうチョイ版が大きい方が良かったなぁ…
  • エロチカコミックは白黒18P、カラー8Pの全26P。
    • 個人的にはコミックは一体収納出来ないってのもあるけれど前日譚の「NO MORE LOSER」と劇中作の「ビザールジェリーセカンドシ0−ズン」が蛇足に思えてしまいましたワ。通常版との価格差がさして無かったのもあったのでコチラを購入したんですが、設定資料集以外はぶっちゃけいらなかったかなぁ… 手間ぁかかってるのは解るんですけども。

 

  • 『ストーリー等について。』(ネタバレも含むので注意)
  • クリアー後に4Gamer.netさんトコの記事*1を読んで、の上で、ですが…
  • 暴力が表現として重要って点もあるんですけど私は『龍が如く』シリーズはゲームとして好きですがキャラクターや世界観も全部ひっくるめた物語としては好きじゃないんですよ。それはあれだけ酷い事やらかしといて桐生自身は誰一人絶命(殺)させてないのはかのゲームにおける主人公の暴力って詰まるトコロ製作者の意思やメッセージやテーマを示す為の手段であり表現だからあれでいいんですよ。実際にアスファルトの上に倒れた人間の顔を目いっぱい踏んだら人は死ぬか片輪になるけどってのはナンセンスになりますしそこを論ってリアルじゃないとか言うのは違うと思うんでゲームとして楽しんでます、って事で。で、『NMH』をはじめ須田氏のゲームの場合それとは真逆でゲームとしてはストレスや不満や不足をいつも感じるけれどお話しや世界観や演出全部ひっくるめた物語として大好きなんですよね、私は。
  • 何物でもない若者が何者かになってゆく物語だった前作では成長ってより自己確認と自己形成としての対峙って為にランカーそれぞれに個性と自分語りがあったのと比べると本作の場合はUAAランキングがどうであれトップに立ったままでの復讐劇だからランカーの個性はあっても語りは少なく勝利後にやっとフルネーム表示される程度なのは好みが分かれるトコだろうと思うんですが、私的にはこれで良かったのではないかな?と思います。
    • 主人公側が確証も実績も無いのに自負とハッタリを支えにしていたからこそ相手は全く揺るがない存在っか個性でなければならなかったんだからキャラとしての印象に残るのはもぅ当たり前の話で。立ってないとそもそもお話しにならないと言うか。
    • しかし本作の場合はゲームスタートの時点で名前も住所も出るボスが、前作のバイトの暗殺ミッションの1つでしかなかったピザ・バットの、ってのをはじめとしてランカーがどんな生き様と死に様をしても苛立ちや逡巡や苦悩はあっても全部死という結果で文字通りゴミとなる『世界』のトップに立ったままのトラヴィスを揺るがすようなキャラ・存在は必要無いんですよね… で、実際に徹底してて。
    • その意味では最初のヘルター・スケーター戦で全部語ってるって事なんじゃぁないかと。ラストのランカー戦なんて真逆ですもの。
    • でもこのお話しがイカレてるのはよくありがちな「復讐の連鎖」とか「憎しみは何も生まない」とかのようなメッセージ・テーゼを示す事で言い訳っか理由っか免罪符にしちゃう事もしない一方で愛や平和といった理想もそれらを基にした救いも建前も一切無く、あるのは性をはじめとした欲… ミッションやランキング戦で集まるアイテムとか象徴的ですよな… と暴力(衝動)だけ、しかもその暴力は自らの困難等の情況を打開する為のものとか正義や理想を成す為の手段でもなくただただ暴力でしかなくただ『世界』にある、ってのは本当にイカれてると思うですよ。同様に悪意も狂気もそこに共感や感情移入させるような理屈も言い訳も無い理由とか説明もなくただあるもので理解なんか出来ないしする必要も無い、ってのは前作同様ですが、続編でもそれらが変わらないからこそ今回のお話しが成立するとも言えるのですけどそれ故に一般的な支持ってのは得られないんでしょうけど私は大好物ですがな。
    • だからこそ、なんでしょうが… ボス戦前の3つの生首がフェイクだった、ってのは個人的には引っ掛かるっか残念だと思ったんですよね。何者でもないトラヴィスは最終戦前まであの『世界』で得られてなかったモノを得て達成しちゃって神様になったじゃぁないですか。エンディングからもそう推測したんですが、だったらシノブとヘンリーも達成以前に既に使徒になっていたんだしそうなったら殉教ってなっても良かったんではないかなぁ… って思ったんですけども。
      • っか、あの生首のシーンであのチョーカーってデストロイマン同様の超テクノロジー(笑)かと思っちゃいましたもん。で、凄くそれで納得しちゃったんですよね… まぁフェイクと言ったのはヘンリーだしシノブはあれ以降出てないからってのでアレコレと推測出来ますけど、『世界』の神様がよくあるゲームのようにプレイヤーではなくトラヴィスって構造だと私は思ってるんで残念に思う、ってのはもぅ言い掛かりですけども(苦笑)。
  • …という1点以外はストーリー的にはとても好みでありましたが… 受難を経て『世界』で神様になってしまったら後はもぅ福音の伝承か黄昏という物語しか無くなるから続編は無理っぽいかなぁ… でも、勇者か英雄は世界を救うものなのにトラヴィスこそが『世界』の神様であるからこそ”NO MORE HEROS”って期待はしたいんですけど、ね。