『Severance (2006)』(PAL) - Region 2

 
 多国籍兵器企業Palisadeに勤める7人、週末に社長直々にハンガリーにある会社施設での新プロジェクトに備えたチームミーティング研修に行く事になるのだが、ロッジへと向かう森の道が途中で倒木で塞がれていた為に止むを得ずバスを降りて歩いて行く事にするもチームリーダーが地図のインチとマイルを読み間違えた為に延々と歩く破目となる。いい加減疲れてしまった頃にオンボロなロッジと出くわし、地図にもその森の中で唯一記載されている建物という事で
「ここが目的地だ! 違ってるかもしれないけど目的地だ!」
 とリーダーの強弁と野宿するにも熊等の危険性もあるのでとりあえず一行はそのロッジに宿泊する事になったのだが…

 
  …というイギリス産のスラッシャー系映画であります。
監督の前作前作は『CREEP (『0:34 レイジ34フン [DVD]』(2004))』が日本のホラー好きにも割合と好意的だったのもあって購入をしてみたんですけども、主人公が典型的イギリス人紳士ではなくハッパやドラッグ好きのボンクラ、ってのと、随所に見られるスラッシャー映画やホラー映画のオマージュ、ベースにあるブラックなユーモアといいあんまりイギリス映画らしくない感覚は観ていて退屈はしなかったものの個人的にはもひとつ、決してツマラナかったとは言わないけれど
「じゃぁわざわざイギリスから個人輸入をしてまでの視聴を人に薦めるの?」
 っとなると、そこまではなぁ… スラッシャー映画好きでコレクトしている人にもどうだろ? っと思いまして。
 
 多分『Hostel』がメインで『Texsas Chainsaw Massacer』や『Wrong Turn』等、観た事のあるシーンがあってよく頑張ってはいるんですけど直接的なゴアシーンが非常に弱い上にユーモアの点でもオマージュ元のどれにも及ばないんではなぁ… っと思ったのは厳しいですかね? でも、映画としての作りが無駄が少なくないけれどまとまりとしてソツがないだけに余計にこの映画ならではって特筆すべき要素なりネタも特に無いのが浮き上がってしまうと思うんですけどね…  
 これがまだ題名の「severance」ってのがもうちょっと生きるような展開だったら、ねぇ… てっきり私は社長が新製品の実地テストと社内のイマイチな人材の処分も兼ねての虐殺ゲームを仕掛けた張本人だと思ってたんですよな。だから人体と雇用の首切りってダブルミーニングかと。でも、そうじゃぁなかったんですよな… で、会社との曰く付きの気違い集団とのサバイバルってしても出自のワリに詰めが甘い連中ばっかなんでどうにも盛り上がらないままにギャグをやられてもなぁ… ってのは贅沢なんでしょうけどもねぇ…
 
 まぁ思ったんですけどね、
タランティーノが『レザボアドックス』で、ジェームズ・ワンが『saw』で、んでもってイーライ・ロスが『Hostel』で一発当ててから二番煎以下の安易なパクリ、似たような情況設定やスタイルの映画がボコボコと作られたものですが、アレって流行に便乗しようぜ!この企画はウケるって!って商売もさる事ながら
「あんなのだったら俺達にも作れる!」
 ってのも結構あるんではないのかと。
確かにヒットした映画の要素1つ1つは陳腐とも言えるし、自分達だったらもっとこうしてああやって面白く出来るのに!って瑕疵や拙い部分も少なくないんですけども、しかしパクリ元が何故にこうまでマスターピースとして残りパクリ作品が残らないかと言えば大抵のパクリ映画ってそれが映像にしろ台詞にしろ脚本にしろ、オリジナルと比べるとやっぱダサイ、野暮ったいんですよね。ナルホド、脚本の穴は小さくはなってはいる、テンポが良くなった、役者はいいかもしんないけど、と言ってそれで面白くなるもんでもないんですよな… んで、やっぱりどっかで客を掴む印象に残る部分があってこそ、ってんじゃぁないんでしょうかのぅ。
 
 本作も良くやってる部分はあるし退屈はしなかったんですけども、と言ってこれより緊張感のある作品、ゴアシーンがキッツイ作品、ブラッディな黒いユーモアの作品、オネーチャンのオッパイが一杯出る作品(笑)、ってのが特に記憶を巡らなくても私程度でもスラッっと出てくるし、別にコレ2006年の作品としての必然性も無いんじゃぁ趣味としてスラッシャー映画やらをコレクション、視聴する人以外にはあんまりオススメする気にはなれんなぁ… ホラー好きな方がレンタルされれば充分じゃないの?ってのが正直なトコですわ。
 一応主人公のSteveを演じたDanny Dyer、個人的には何となくJohnny Knoxvilleの演じるボンクラをうっすらと思い出させたくらいにさして活躍出来ないってのは面白みを感じなくもありませんでしたが、お話にもっと捻りは欲しかったかなぁ… でなきゃぁ逆にもっとシンプルに、直球にしてくれたらなぁ… っと、そこそこ楽しめはしたもののイマイチこぅスッキリしない作品でありましたわ。それが監督らの狙いならもぅお見事!、なんでしょうけども、多分そうではないでしょうなぁ…
 
 
 
 さて、
以下はこのDVDソフトについての情報なので興味のある方だけ

 
・『Severance (2006)』(PAL) - Region 2
 
 Studio: 20th Century Fox
 Theatrical Release Date: August 25, 2006
 DVD Release Date: Jan 8, 2007
 Run Time: 91 minutes
 
 Aspect Ratio: Widescreen - 2.35:1
 Available Audio Tracks: English - Dolby Digital 5.1
 Available Subtitles: English
 
 Special Features:
  ・Audio commentary
  ・Making of SEVERENCE (33:48)
  ・Being Danny Dyer (5:18)
  ・The Genesis of Severance (4:55)
  ・The Coach (8:10)
  ・Deleted scenes with optional commentaries (8)
  ・Not So Special Effects (:)
  ・Outtakes (:)
  ・Palisade corporate video (1:40)
  ・Funnu Fight Scene (2:01)
  ・Alternate ending storyboard ( :43)
  ・UK Theatrical Trailer (1:56)
  ・Intro Sequence Animatie (2:47)
 
 Easter Eggs ー 『Nadia and Olga interview』 (6:34)
 Special Featuersの2ページ目の「The Coach」にカーソルを合わせて「→」か、「Outtakes」にカーソルを合わせて「←」で中央のパイの絵の上にカーソルが移動するので「Enter」。
 本編で現地のエージェントNadiaとOlga役のお二人へのインタビュー。お二人は現地のお人らしくハンガリー語での喋りが多いのでこれのみ英語字幕が表示される。

 

 
 画質と音質は並。どちらも特にノイズや歪は無いもののシャープさや発色がそれ程いいとは思わなかったもんで。それが演出ならば兎も角、そうではないんで「並」って事で。そう言えば音声に視覚障害者用なのか台詞以外の情況を詳細に語ってくれるモードもあるんですけど、本編が本編だけに生真面目な語り方も込みでのギャグ?って思わなくもありませなんだが。

 特典は矢鱈に充実している(笑)ので以下にザッと内容をば。
「Audio commentary」はChristopher Smith(監督)、James Moran(脚本)、John Frankish(Production Design)、Danny Dyer(Steve役)、Tim McInnerny(Richard役)、Babou Ceesay(Billt役)、Andy Nyman(Gordon)、という男衆でのダラダラとした語りをやってくれてますが、何故に本編のヒロインっか殆ど主役級の活躍をしたMaggie役の Laura Harrisがいないんでしょうなぁ… って事で面白い裏話もあるのかもしれませんが聴く気になれんので詳細は不明です。字幕無し、ってのも聴く気になれない一因ではありますが…
「Making of SEVERENCE」は文字通り。企画意図から撮影風景等を監督やスタッフ、出演者らのインタビューを交えながら、というものです。
「Being Danny Dyer」、本作の一応の主人公Steveを演じたDanny Dyerのオフショット等の映像集。
Genesis of Severance」は本作のプロダクションデザインをしたJohn Frankishのコンセプトやお仕事ぶりをインタビューを交えつつの映像であります。デザイン的にはかなり凝ったものであった事が伺えますね。
「The Coach」はスタント担当や火炎等の担当等、様々な裏方さん達の様子やお仕事ぶりをインタビューを挟みながらまとめたもの。低予算の環境の中でのお仕事っぷりはどこの国の映画業界でも似たようなもんですよなぁ(笑)。
「Deleted scenes with optional commentaries」はコメンタリーのOn、Offが可能です。ただ普通こういうのって本編の補強になるものか採用に迷ったテイクとかなんですが本作の場合は尺の都合で切っただけであっても邪魔、無駄なシーンばかりなんでも私的にはもひとつ。
「Not So Special Effects」は、激しいアクションの多い映画ならではの出演者らの傷や怪我についてのもの。
「Outtakes」はNG集ですな。和気藹々とした映画撮影の現場が偲ばれます。
「Palisade corporate video」は本編の冒頭、バスの社内で流していた新しいPalisade社の宣伝ビデオって素材。多分、わざとアメリカ企業のモノのパクリって徹してみせた芸の細かさもまた映画ならではなんでしょうなぁ。
「Funnu Fight Scene」は劇中、Steveの数少ない見せ場の格闘シーンのリハの風景。キチンと段取りを組んでの流れるような展開は本編より個人的には面白かったですね。
「Alternate ending storyboard」、コッチの方が良かったんじゃぁないのかなぁ… って思いましたねぃ。まぁエドガー・ライトイーライ・ロスならコッチやってそうですけど。
「UK Theatrical Trailer」は文字通り劇場予告編。
「Intro Sequence Animatie」はOPの絵コンテを本編音声に合わせて、ってモノ。ただ、わざわざコレを、コレだけを収録する必要があるのか?ってのは疑問なんですけども…
 
 という事で、ソフトとしてもまぁあえて購入する程のモノか?ってなると微妙ぅな気がしなくもありませんが、今のイギリスの映画業界の勢いとかを感じられなくもなくはない本作、仮に日本版DVDが出たとしてレンタルで期待をしないでの視聴なら… ってトコじゃぁないでしょうかのぅ… うん。