包装箱とモノサシ。
アカデミー賞の長編アニメ部門を『Happy Feet』が獲得したのでカートに入れてある来月末発売のUS版DVDのオーダーを確定しようかどうかちょっと迷ってるUSA-Pであります。いやこれがキネ旬とかだったらもぅ速攻スルー決定なんですがアカデミー賞の場合、作品の出来はいいんでしょうけども例えば2001年（第74回）は受賞作の『Shrek』より断然私は『Monsters, Inc.』だったもんで… 2004年（第77回）に『The Incredibles』が受賞ってのも迷いの一因でありますが、ここは『Monster House』とまとめての大人買いかなぁ？ とか相変わらず長い前書きはさておき。
アカデミー賞に限らず映画賞はいくらでもあって、一応結果はザッと目を通すようにはしているものの、それはあくまでも
「見逃してたりチェックし忘れの作品があるやもしれない… 」
という点からだけの話で、それ以上でもそれ以下でもなくて。
「我々は世界で一番立派な包装箱を作っているんだよ、マーロウ君。しかし、中に入っているものはほとんどすべてがらくただ」
レイモンド・チャンドラー 『長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))』より
を例に出すまでもなく、賞によって作品の出来が良くなったり上がったりするものでもないし、まして私にとって面白くなるという訳でもなし。数多くの賞という名の宣伝と商売そのものを否定はしない。そんなに若くもないし。ただ、近年の芥川、直木賞のように売らんかなと話題性だけでの建設的さも芥川龍之介、直木三十五のやっていた事に何ら関わりも縁も志も無い作品に賞を提供するやり方は金の卵を産む鶏の首を絞めてるのと大差無い事だとは思うけれども、実際に賞という包装箱のお陰で売上が違うのだし、賞を獲る事で作家が編集者や会社に対しての発言権が上がる場合もあるんだから一例をもって全否定するのもどうかと思う、というだけの事でそれ以上も以下も無いってだけの事で。
とは言え。
「これは●●賞を獲ったんだから凄い作品だ！」
と言われても面倒臭いんで生返事くらいはしてあげるくらいの愛想は社会人なんでありますけれど、しかし中には困る御仁もいて
「これは●●賞を獲ったから素晴らしい作品だ！」
と言われると流石に首を捻らざるを得ないし
「これは●●賞を獲ったから面白い作品なんだよ！」
と強要されると場合によってはその人との付き合いを止める事もありまして… まぁ暇とか余裕があって気が向いたのならネチネチと冷笑しながら苛めてやらない事もありませんが、まぁ大抵そういう御仁とは会話が成立しない只の無駄な時間と手間をかけるくらいなら妻なりと話してる方が余程有益、刺激的ですしのぅ… まぁ
「自分が面白かったんだから傑作なんだ！」
って、さしたる根拠も論拠も無く言ってる御仁はもぅどうしようもありませんが。
ひと昔前、
今みたいにシネコンがアチコチ出来る前、地方っか田舎で女性が一人で映画館に映画を観に行くってのはちょっと用心と言うか二の足を踏んでいたもので。知り合いの女性はそういう時は必ず長いハットピンを携帯してましたが（笑）、そういう時に自分に特に気があるでもないお友達で威嚇にうってつけらしい私はよく映画鑑賞のお供をしていたものでありますが、笑っちゃうタイミングがズレてたり違ってたりするのはまだいい方で、拷問のような退屈っか適当っかいい加減な作品でもぅ寝るか私だけ先に帰りたいんだけどそうなるとお供の意味が無いし… っとゲンナリしながら我慢をして最後まで鑑賞に付き合った映画ってのも少なくなくて、またそういう映画に限って別の人からのお誘いを受けたりするんで余計に嫌いっか憎くなったモノまでありましたが*1
「何でこの映画にしたの？」
「友達とかが面白いって言ってたから」
「で、面白かった？」
「う〜ん、多分。だって友達が面白いって言ってたし。」
って時は本当に時間の無駄と言うかどんだけ女性には甘いんだよ自分とか「それどんな修行？」ってどんよりした気分になったもんです。出来・不出来は問うてやなくて、単に好き・嫌い程度であってもそれがその個人のパーソナリティであるなら別に構わないしそれはそれで面白く思う事も多いんですが、よく自分でも解らない・曖昧なのにたかが宣伝量や包装箱程度を根拠にでも強弁しないと自分が否定、負けになる！ってされても
「ワタシ（ボク）は中身がありません。」
って言ってるのと同じなのになぁ… それが権威馬鹿の自己中になると更にうざったいよねぇ… と、tet君やたお氏のブログを読んでボンヤリと思う火曜日。
面白い、とか、モノサシが色々あるから楽しいって思うんですけどね。ただ私は
「出来るならその人なりのモノサシを持ってる人じゃないとやっぱ駄目だなぁ… 」
とか
「せめてその人なりの包装箱に入れて欲しいよなぁ… 」
とか、ついつい思ってしまうんですが、こういうのは贅沢なんだよなぁ… とか、ダラダラと書いたけど特にオチは無い。
