『SARS Wars (2004)』

 
 時は現代、
マフィアのボスの娘が誘拐され身代金を要求される。ボスは昔からの知り合いの武術の達人に娘の奪還を依頼するが、送りつけてきた身代金要求VHSテープが入っていた封筒に犯人らが住むマンションの住所が書いてある、というお馬鹿さんっぷりに
「わざわざ私が出るまでもない。私の弟子で充分さね」
 っと弟子に奪還を任せるのだが、そのマンションでは既に新型SARSが蔓延していた。
 アフリカで突然発生したこの新型SARSに感染した生物は極めて攻撃性の高い凶暴な怪物へと化してしまう危険なシロモノ。とりあえず誘拐犯から娘を取り返した弟子がいざマンションを脱出しようとするも感染を知った政府によるマンション封鎖で逃げ場が無くなってしまう。
 かくして弟子、弟子の危機を察して駆けつけた達人、誘拐犯、攫われた女子高生、細菌研究のセクシー女医さん、そして政府のお役人、それぞれが様々な思惑を持った中、爆破焼却のタイムリミットが迫る…

 
 …っというお馬鹿アクション映画。
個人的に観ていて、異郷の細菌による怪物化した生物や人間との戦いってのと閉鎖空間での戦闘って点で『ブレインデッド(1992)』を思い出したんですが、あそこまでの出来ではないにせよ一見ハチャメチャで適当な映画パロディの垂れ流しかと思いきや、ギャグが時に伏線になったり繰り返しのネタになってみせたりと、かなりよく考えて作られたお馬鹿映画なんですよコレ。SF、ゾンビ、銃撃、恋愛、アクション、サスペンス、女子高生とシモネタ、っとテンコ盛りのお話は登場人物の出し入れも悪くなく展開もスピーディ、ベタベタなギャグの一方で剣を使った場面のカッコ良さ、回想でのアニメを使ってみせる演出の幅の広さ、安定したフレーム構成といい、タイ映画界の勢いと厚みがあればこそ、最後のEDロールまで楽しめた一品でございましたよ〜
 
 ぶっちゃけ…
今回タイからVCDとDVDをまとめて購入しましたが、本作と『Elaan (2005)』という個人的なヒットが無かったらかなり辛かったですわ。
 タイ映画界っても資本や技術の差がかなりある為か、DVDソフトとしての出来も差があるものでいつでも成功! 大満足!ってなるワケでもないのは当たり前ではありますが、そう思ってはいてもハズレを掴むのはやっぱりいい気分はしませんもの。あぁ面白かった!
 
 っと、私の文章だけではアレなので興味がある方は【タイ公式サイト】(←click!)にどうぞ〜 ちゃんとEnglishページがあって予告編やフォトギャラリーもあるんで見ておくんなまし〜
 
 
 
 って事で、
以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ
 

 
・『SARS Wars (2004)』(PAL) - Region 3
 
Studio: Sahamongkol
Theatrical Release Date: December 16, 2004
DVD Release Date: November 15, 2005
Run Time: 95.00 Mins.
 
Aspect Ratio: Anamorphic Widescreen - 1.85:1
Available Subtitles: English
Available Audio Tracks: Thai (Dolby Digital 5.1)
 
SPECIAL FEATURES
・Trailer (2)
・TV Spot (4)
・Deleted Scenes (9)
・Music Video (2)

 

 
 スキャナーではこういうメタリック系の印刷が綺麗に出てませんが綺麗な紙製のスリムなケースを開けると本編では見られないシリアスな登場人物のスチルが笑えます。日本版でもぶっきらぼうな黒プラスチックケースのみってのも珍しくない中、こういう遊び心のあるケースっていいですな。
 
 画質、音質は良好でしょう。
05年末に公開&06年にDVDリリースなのにクソ画質&音質だった『In The Name of The Tiger (2005)』もあるというのに、こういうソフトもあるから個人輸入は止められません(笑)。
 メニュータイトルがタイ語のみなでよく解らないものの、選択すればDolby Digtalなどの英語表記があるので何とかなるのではないかと。
 
 特典も豊富で、特にDeleted Scenesは本編では語られなかったお話が中心になってるんですけど、そのカットによって確実に作品としてテンポもバランスも良くなっているんですよな。こういう配慮が出来るって点でもますます私、タイ映画への感心を持ちましたよ!