『In The Name of The Tiger (2005)』

 

 時は遥か昔、山岳一体を収める領主への隷属を拒否している様々な部族がいた。ある日、侵攻してきた領主の軍に対抗すべく神に祈ると祭壇から一人の男が現れた。壁画に描かれていたその男は武術の達人で
「これぞ神の使い! 我ら部族を護りたまえ!」
 っと喜んだもののどうもこの男、神の使いにしては俗な事この上もなく使命感も正義感もやや薄い。とりあえず当面の敵はいないからと気侭に山岳地帯を旅し、小人族に協力してみせたり首長族とのロマンスがあったり領主の軍に捕まって牢屋に入れられ脱走したりしているうちに男の風評が広まり、危惧した領主は悪名高き殺し屋・地獄の双子(Hell Twins)を呼び寄せ、彼らを筆頭に反抗する部族への襲撃を開始する…

 
 っといったお話のこの映画、久々にタイ映画という括りではなく単純に観てで「外した!」っと思った一品。
『The Tiger Blade (2005)』に収録されていた本作の予告編、合成は甘いっか雑なものの、雰囲気としては『LotR』プラス『マトリックス』といった感じだったのを気に入っての購入→視聴でしたが、お話が兎に角いい加減であっちこっちで散漫なのはまだ何とか我慢出来る範囲かと思ってたんですが出来もしないのに辻褄を合わせようとしたけど出来ないから投げ出す、ってオチのはやっぱりあきませんって。登場人物が不用意に多いワリにキャラづけが曖昧なのもアレだし、適当なのも大概にせぇやよ。
 そのうえアクション場面で画面をブレさせまくるって手法がずっと続くと気分が悪くなってきてまともに観る気になれないんですよ。アクションの躍動感やダメージの表現としての画面のブレ、ってのは手法としてはいいんですよ、でも格闘シーンや乱戦シーンで何分もずっとブレたままってのは流石にねぇ… Full Screenの一昔前の東映TV特撮番組程度の荒い画質の画面だと余計に観ていて気分が悪くなってきまして、今コレを書きつつ思い出すだけで頭が痛くなってきてますもの。
 
 最後の地獄の双子との対決シーンはそれなりで、ブレッドタイムげな描写とか「ほぉ!」っと思わせるシーンは無くはないんですが、それ以外が本当に適当な出来ではなぁ… なんか股旅物系っか流れ者系のお話ですから1話30分全13話のTV特撮連続活劇だったらまぁいいかとは思うんですが、それを2時間弱の尺で出来もしないのにいくつものエピソードを13話のテンポでやろうとするから話がボケるわ端折るわ飛ぶわ投げるわ、ってなるだよ… って事でとても残念、っか観るのに使った時間、返してくれ… こんなんが05年年末に公開されてるってのが驚き。いくらタイが映画王国にしてもちょっと勘弁して欲しい出来だったなぁ…
 
 って事で、多分いないだろうけど以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ

 
・『In The Name of The Tiger (2005)』(PAL) - Region All
 
Studio:Pranakorn
Theatrical Release Date: December 01, 2005
DVD Release Date: March 14, 2006
Run Time: 113 Mins.
 
Aspect Ratio: Fullscreen - 4:3
Available Subtitles: Thai, English
Available Audio Tracks: Thai (Dolby Digital 5.1, 2.0)
 
DVD feature
・TRAILERS (4)

 

 
 画質、音質はイマイチ。
去年劇場公開された作品とは思えない、なんかS-VHSで撮影したの? って荒いわ色褪せた画質ですし、スコアはまぁ聴けても台詞や効果音が濁った上に左右も高低音のバランスも音質もイマイチかと。
 それと『The Tiger Blade (2005)』でもあった謎規制が今回も適応されていまして、喫煙が駄目だからボカシ、ってのは仕方無いにしても、首にあてる剣が軒並み特大ボカシにするくせに、頭や顔に手裏剣が刺さったり腹に剣をブッ刺すのがノー問題・ノーボカシにって基準は何なんだと。大体、予告編では喫煙も何もオッケーなのにわざわざDVD版でこんなボカシを入れる意味が解りません。初めっから入れなくても映画は出来るのに… って事で予告編に収録されてる他の作品に興味が沸かなくもないんですが、このスタジオ、メーカーのはちょっとパスですね… 結局必然・必要ではない演出の為に画面がうざったくなるんじゃぁ話になりませんっての。