『Hostel (2006)』

 
 USA-Pさんが『Hostel (2006)』についてブログを書こうとしたらMyブログ軍師にこう言われました
 
 でも書く。
 
 SPRING SEASONをヨーロッパ旅行で過ごすバックパッカーのPaxton(Jay Hernandez)とJosh(Derek Richardson)、途中でアイスランドから来たというOli(Eythor Gudjonsson)と意気投合して共にアムステルダムでハッパを試したりしたりするも、一向にオイシイ思いは出来そうもなく… って時に、たまたま知り合ったから男から
「東欧だったら旅行者なんか行かないからモテモテだぜ! おまけにアメリカ人だったらよりどりみどりのハメまくりだぜ!」
 と彼のデジカメの画像を見せられて、彼の言うガイドブックに載っていないホテル(Hostel)にとスロバキアに行くのだが…

 
 ってこの映画、初登場全米第一位を獲得したスプラッタ映画、って事よりも『CABINE FEAVER (2003)』の監督の最新作、エグゼクティヴプロデューサーにはタランティーノと、共に役者・俳優・脚本もこなすBOAZ YAKINとSCOTT SPIGELを、そして編集にはベテランで『THE BLUES BROTHERS (1980)』も担当したGEORGE FOLSEY JR.っと、何この豪華製作陣!? って事にも興味をそそられて購入したんですが…
 
 う〜ん…
 
 映画としての出来は良いんですよ。
『CABINE FEAVER (2003)』ん時はいまいちこぅカメラやカットの展開等、演出部分がボヤけてるトコロが少なくなかったのと、本人や知り合いをはじめとする内トラの必要以上に長いワリに繋がらないし無くても別に構わないシーンの多さが難点だったのですが、今作はそういう無駄はほぼ無く、特にストーリーの運び方、テンポの良さは別人のようで一人一人が消えてゆき… って不穏さといい、現地の俳優さん達のハンパない、半分以上本気な演技(瞬きしねぇ!(汗))といいゾクゾクもんでしたんですが…
 
 いかんせん拷問シーンが弱いですよ。
 
 昔、1970年代のアメリカをはじめとして、観客を不愉快にさせる為だけにサービス精神と知恵と手間をふんだんにかけた映画がたくさん作られましたが、そこでの「娯楽としての暴力、殺人」ってのをこの映画で求めてたワケじゃぁないんですが、それにしたって「娯楽としての」って部分の描写が弱いんですよ。最初の方の娼館とメインのART SHOWの館(笑)とがセットの構造だけでなく台詞までダブらせてある事から明白なんですが、ノーマルにせよアブノーマルにせよ全部ひっくるめてのセックスという商売のイメージと比べると拷殺ってのは理解し辛いものじゃぁないですか。別に観客にそれを理解させる必要は全然無いんですが、しかしそれが娯楽として消費されているという点と、提供される多様性って点の2つをもちっと印象的に描いておかないと折角の対比が弱くなるじゃぁないですかぁぁぁぁぁぁ! 折角いい感じできたのに勿体無いよぉぉぉぉぉ!(炎上) もっとこぅPaxtonをネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチせめてあと10分イジリ倒して拷問してくれりゃぁまた違った印象になったかと思うんですが、しかし現地の俳優さんがイキ過ぎてNutsでアブなアドリブ連発で役者が参ってしまったらしいのも込みであれくらいにしておかないといかんのだろうが…
 
 っと、いささか残念さが先に立つ感想になったんですが、それはこの映画がそう思うくらいにこのテの映画としての出来が良いから、なんですけどねぇ… でも、映画としての出来の良さが必ずしも作品としての良さにはならない、って事なんですかのぅ… まぁこの人の持ち味の悪趣味なジョークって部分は本作も色々ありまして… 「再会」っか「御対面」んトコとか大笑いしましたが… ともすれば重くなるだけ不愉快になるだけの題材をエンターテイメントとして様々な要素を詰め込みまくった作品だと思いますんで興味のある方は観てみるのも悪くないんじゃぁないかな? っと。
 逆に『悪魔のはらわた』や『悪魔のしたたり』や『ギニーピッグ 悪魔の実験』とかの路線のハリウッド版と勘違いしてると私のようにちょっとスカされた気分になりますよ、っとぉ。
 
 …まぁね、似非スラッシャーもどきが氾濫してた90年代を思えば今作は残酷描写もあるエンターテイメント映画としては出来がいいたぁ思うんですけどね、どうも私は贅沢なもんで、
「ここまでやれてるのに勿体ねぇぇぇぇ」
 って思いましたなぁ… っとぉ。
 
 
 
 以下はこのDVDについての情報なので興味のある人だけ

 
・『Hostel (Unrated Widescreen Edition) (2006)』 - Region 1

Studio: Sony Pictures
Theatrical Release Date: January 6, 2006
DVD Release Date: April 18, 2006
Run Time: 94 minutes
 
Aspect Ratio: Widescreen - 2.35:1
Available Subtitles: English, French
Available Audio Tracks: English, French (Dolby Digital 5.1)
 
SPECIAL FEATURES
・COMMENTARIES (4)
・FEATURETTES - HOSTEL DISSECTED (3)
・KILL THE CAR (3 MULTI-ANGLE)
PREVIEWS (8)

 

Doom (2005)』ん時もそうでしたが、これも紙製のアウターケース付きって仕様になってますが、最近のソニー・ピクチャーズの流行なんでしょうか? 写真やキャプションとかジャケと一緒なんで邪魔くさいんですが…
 
 画質、音質は問題ありません。最近購入したソニー・ピクチャーズのDVDが画質的にやや難アリげなのが多かったんで心配しましたが、発色も彩度も鮮明さも普通に良いかと。
 
 で、特典なんですが…
 
『Cabin Fever - Special Edition (2003)』の時のように監督の遊び場として無駄に容積を使い切ってみました、って程のものではないのがチョイと残念ですが、それでも

  • DIRECTOR ELI ROTH AND EXECTIVE PRODUCERS QWUENTIN TRANTINO, BOAZ YAKIN AND SCOTT SPIGEL
  • DIRECTOR ELI ROTH, ACTORS BARBARA NEDELJAKOVA (Natalya) AND EYTHOR GUDJONSSON (Oli), EDITOR GEORGE FOLSEY JR.
  • DIRECTOR ELI ROTH, PRODUCER CHIRS BRIGGS & DOCUMENTARIAN GABRIEL ROTH
  • DIRECTOR COMMENTARY WITH ELI ROTH

 って4つもある音声コメンタリーが馬鹿過ぎ(笑)。
今んトコ、タランティーノらとのしか聴いてないんですけどお前ら中坊のビデオ上映会かよって感じで
「あ、そうそうこのシーンでさぁ… ほら、ほら、ほら、ヤッターッ!(笑)」
「うぁを! なんてこったい!(笑)」
「こいつぁヒデぇやッ!(笑)」
 って酔っ払ってんのかお前ら!(笑) っと言いたくなるくらいに本編を観ながら馬鹿騒ぎしてます。きっとタランティーノの家にある映画館で観る時や、撮影ん時にタランティーノの部屋で開催されるオレが好きな映画上映会とかこんな感じなんでしょうなぁ… でも一発目がこんなんだと残り3つを聴くだけの体力と気力がねぇですよ(笑) それくらい、パーティのようなハイさでエンドロールが終わる寸前まで喋りたおしてるAudio Commentaryなんて私は初めてですよ。
 
 その強烈さに比べると全三章・約56分もある「FEATURETTES - HOSTEL DISSECTED」は重複部分もあるし散漫なんでちょっと物足りないし、特に目立った見せ場とは言えない車破壊シーンの撮影の様子をマルチアングルで観れる「KILL THE CAR」は蛇足感が、そして何より本編予告編を収録しないのはソニー・ピクチャーズの伝統なんですかの… 『Silent Hill (2006)』の予告編は面白そうでしたが、他の作品の予告編を8つも収録するくらいだったら何故に入れてくれなんだかなぁ… っと、DVD特典はチョイと残念な収録具合ですわ。
 
 もし仮に日本版が出るのなら、この無駄に豪華でバカ騒ぎな音声解説は全部残してもらいたいんですけどねぇ… 前作『Cabin Fever』は全米Box Office 10入りしたのにビデオスルーでおまけにUK版を元にしたカス仕様でしたが今作は公開されるんでしょうかのぅ… まぁ個人的にはビデオスルーも止む無し? って気はしないでもねぇですが、まぁどうでもいいや。