『うずまき』再見。

 伊藤潤二氏の絵柄がどうにも好みではないんで原作は未見なれど、TVCMのセンスの良さに
レンタルして好感を持っていた作品が『うずまき』。妻が未見だったがで『呪怨』の本編前作品
予告を見て気に入ったようだったのでレンタルしてきての再見、だったが…

 いやぁ、惜しい映画だと思うんですよねぇ、コレ…

 ホラー映画として紹介されるし、そういうジャンル分けをされるのは仕方無いんだけど、でも
これってホラーじゃないでしょ。不条理、悪趣味な冗談の映像作品であって、例えて言うならば
モンティ・パイソンテリー・ギリアムのアニメ、ちょっと違うけど三池監督の『牛頭』みたい
なもんをホラーとして括るのも可笑しいじゃない? そういう点で、ホラーとして観るべきかの
ような売られ方をされてしまったのがまず惜しい。

 次に、本ッッッッ当に惜しいのが、結構重要な位置のキャラを演じる大杉漣が駄目な事。
これは明らかにミスキャストだと思う。執念を通り越した狂気を段階的に演じられる能力のある
俳優でもないし、コミック的なオーバーアクトが似合うワケでもないから中途半端なんよねぇ…
と言ってじゃぁ他に誰が? ってなると難しいんだけど、でも大杉漣ではなぁ… 説得力もイン
パクトもハッタリもきかないし似合わないんだよね… って思うのが惜しい。

 でも、こういう系統ってのも嫌いじゃぁないんですよね、私(笑)。
『首吊り気球』(あ、これも伊藤潤二だ)や『発狂する唇』とか大林の『ハウス』とか、日本で
しか出来ない湿度の高いユーモアを乾いた映像で綴る映像作品って。こればっかりはハリウッド
でも香港でも出来ませんなぁ… まぁ私が知らないだけなのかもしれませんけどね… 

 って事で再見でも退屈はしませなんだな。

 とは言え、dvd買うまでには燃えませんでしたなぁ…

(正直、オススメはしねぇです。もちっとテンポアップ出来た部分はあると思うんで。あと原作
のファンの人だと多分、「残念」って気分の方が先に立ちそうな気がしなくもないです… 多分
原作は完結してるだろうから)