「難しいさね… 」(映画関連雑記)

 半年振りの再見、の筈なんだけどパブリシティでの露出が多過ぎた
のとシーン、シークエンスのキャッチーさとインパクトの強さでそれ
だけの間が開いた気になれなかった『KILL BILL』のdvd。
 いや、好きなんですけどね、この映画…
予算の都合からなんだろうけどこれまで俳優やシーン、台詞ナドナド
の『雰囲気』での映画作りをしてきたタラ公が、おそらく初めて自分
の中の趣味嗜好を徹底した自己分析してからデティールを詰めに詰め、
拾捨選択をして『物語』を創りあげていったこの作品が私が一番好き
なのは、これまで画面構成や音楽の使い方等実にスタンダードだった、
っかせざるを得なかった【枠】や【枷】から解放されて彼のサービス
精神が縦横無尽に発揮出来る喜びに満ちているからなんだろうなぁ…
 と、あらためて思いましたな。

 ただ、
今回再見をしてみて思うのはやはり翻訳の難しさ、ですな。
「come on,Bitch!」を「かかってきな」と訳してあるのは間違いでは
無い。無いんだけど
「come on」を「来な」「来い」(プラス「!」の有無、平仮名、
カタカナ表記の違いもあるし)にしても、「Bitch」を「売女」「アバ
ズレ」「クソアマ」にしても間違いでは無いんだけど… 実際の所、
使い所でのニュアンス以前にその英語ででしか現わせないものの方が
多いんじゃぁないかなぁ… っとね。

 かつて台詞の翻訳にまでこだわってみせた映画監督と言えばキュー
ブリックで、戸田奈津子の馬鹿訳に
「こんなのだったら日本で後悔しなくたっていい」
 とまで言い切ってみせたが、『KILL BILL』の場合、
日本語の台詞の英語訳がほぼ問題無しなように思えたのと比べると…
まぁ修辞とか形容詞とかが殆ど無かったからなんだろうけど… やや
日本語訳に違和感っか物足りなさを余計に感じたんですな。

 GW公開予定映画の中で一番のオススメ『The School of Rock』に
なるとこれはもっと顕著になってくるんだが…

 難しいさね…
 落とし処って、言葉が生き物である以上普遍でも不変でも無いしね…