「表現の自由」を書くとキリないけどチョイとこれは…

 山田風太郎の『甲賀忍法帳』を読む。
様々なジャンルを書かれた作家であるが、その中でも
やはり「忍法帳」、と思うのは偏向かもしれんが、
まあ「明治物」とかピンとこないのよね私。
 さて。
「忍法帳」物第一作であるのだが、30年以上前に
書かれたものであるにも関わらずとにかく古くない。
まぁ漢字を現代漢字にしたりかなづかいを変えた、
ってのはあるのだろうがとにかく読みやすく面白い。
「う〜ん、一作目でここまでパターンとして完成して
いるとは…」
 と驚くことしきりでありました。
 
 でもね。
 
 私の読んだ講談社文庫の巻末に「出版部」からの
「おことわり」ってのがあったんだけどね…
 
「 本作品中には、十頁に始まり二十五頁にわたり、
せむし、盲、いざりなど身体障害に関する、今日では
差別表現として好ましくない用語が使用されています。」
 
 と、ある。まぁ、これはしょうがないにしても、
 
「 しかし、江戸時代を背景にしている時代小説である
ことを考え、これらの「ことば」の改変は致しません
でした。読者の皆様のご賢察をお願いします」
 
 ってのはいただけない、と思うぞ私は。
別に江戸時代を背景にしたから使った「ことば」では
あるまい。じゃぁ他の現代物や推理物などはどう表記
したのだろう? なんかすごく安易な言い訳というか
故人とはいえ作家に対して失礼な一文に思えるんだが…