『The Raid: Redemption (2012)』- Region A メモ。

北米版Blu-rayジャケ。

 
たまさかAmazon.comにて$9で売られていたので購入したこの北米盤Blu-ray、日本版との仕様の違いは「日本語字幕無し」「オリジナルBGM版音声」の2点。
オリジナルBGM版はIndonesian/Bahasa 5.1 DTS-HD Master Audio Surroundのみ。 Linkin ParkのMike Shinoda氏が担当した特別BGM版はIndonesian/BahasaとEnglish、で5.1 DTS-HD Master Audio Surround。映像特典はほぼ全て日本版に収録っぽ。なので値段次第、かなぁ… 正直、BGMについてはそんなに映画の印象を変えるものとも思えなかった… 確かにオリジナル版は語らないし鳴らないし啼かないしのノイズ寄りなんで圧迫感があって個人的には好みでしたが。
 

 
 予告編を観て気持ちが昂ぶってたんで期待値が高かったんだけども… 個人的には、どうも、もひとつ。
マーシャルアーツ・アクション物として観るに、確かに基本シラットの動きは新鮮なんだけど映画的に見栄えのするカットへの切り替わりが入る間があまり良くない上に演者の技の速さと的確さと合ってないからテンポが悪いんですよ。例えば中盤に主人公が行き止まりに追い詰められたってシーンで
「捌いて相手の刀を叩き落とす」→「刀を踏む」→「刀を後方へ滑らせる」→「滑る刀が止まる」→「相手をボコる」
 ってカットになるんですけど、そもそもの捌きとボコる速さと比べると間の3カットの間ってなんか違うと思ってしまうんですよね、私は。そりゃ見栄えはいいんでしょうが、その間にもぅ倒してる筈なんじゃね?って言えばいいんでしょうか…*1
 
 あくまでも私の偏見だけども、今迄のマーシャルアーツ・アクション物とはちょっと違う物を、っと、あれもこれもと色々なやりたい事を盛り込んだはいいけれど結果として整理がつけられなかった所為でマーシャルアーツムービーとしてもクライム・アクション物にもなり切れなかったんじゃなかろか? せめて政治性なりメッセージがあればまだ多少は格好はついたのかもしれないがそれも無いし*2
 そう、本来はポルノにおけるセックス、ミュージカルにおけるダンスシーンと同様に、格闘アクションにおいてバトルシーンの意味が無ければもぅひたすらにハードコアにしていくしかないんですよ。でなきゃぁ見世物としての凄さに振り切るか。でも、その踏ん切りっか整理がついてない上に、多分、最初の格闘シーン… トンファー&ナイフんトコ… でネタ切れになったっぽく、以降主人公のアクションはどんどん大振りで精彩を欠くように見えてしまいまして、のぅ…
 
 個人的には物語の粗(あら)とか跳弾全無視とかの嘘はイチイチ文句言う気は無いんですけど、だったら『おはなし』として戦闘の意味か意図は設定して見せてくれても良かったんじゃぁないかと。でなきゃぁキャラを立ててくれたらば… うん、主人公とMad Dogです… Mad Dogが『スパルタンX』のベニー・ユキーデの如く冷徹で圧倒的な格闘ジャンキーか『殺し屋1』の垣原のような変態格闘マゾだったら最後も理解出来るんですけど、なんとなぁく格闘バカっぽい、ってだけだからもひとつノれんのですよ、特にクライマックスが。主人公にしても我が家の出産間近な妻を想う優しさがあっても状況に於いては容赦無くなる部分が兄貴との対比になってるんだろうけど逡巡が無いからもひとつ立ってるとは言い難いんじゃないか、とか。もうちょっと言うと主人公が敵を無力化するのに殺す場合と殺さない場合があるけどその判断っか根拠っか違いが無かった*3点も込みでもやもやっとした印象が残ってしまったんですよね…
 
 確かにエグい部分もあったけれど、目や鼻や口や金的には入れて無いのも込みでHardcoreにはなれないし… まぁ別になる必要も無いんですけども。だったらどうするの? 何がやりたいの?ってのがもちっと見えて来ないとちょっとなぁ… ってのは厳しいかもしれませんが、主人公らのアクションは速かったし合理的で的確、特にナイフ等の刃物が多分大系に組まれているであろう動き等、凄いものがベースになってるのが見えただけに勿体無いなぁ… 、っと。贅沢ですかねぇ私… でも、作品としてあれもこれも纏めてた中でシラットが突出して、図抜けていただけにやっぱり個人的には勿体無いなぁ… ってトコでしたワ。でも、次回作も観ますよ〜 予算も増えただろうし出来ない事も増えるだろうけど出来る事も増えるだろうし、何より松田龍平君が『Black Rain』での佐藤みたいになるやもしれないですし、ね*4
 

*1:ドニー・イェンの『SPL』や『Flash Point』等でのサブミッションにノれないのも同じような理由だったりします。極めたら折ってる、そうでなければ極めるまでのネチネチとした部分が欲しいと思ってしまうんですよね私…

*2:別に政治性なりメッセージがあれば良い作品、ではない。あくまでも体裁っか形を整える手段の1つって程度で。

*3:銃を持ってるか否か、でも無いし。そもそも相手の装備の具合が不明なのを思うと敢えて殺すのと殺さないのと違いがもうちょっと明確であれば… とか。

*4:http://www.cinematoday.jp/page/N0050014